一般的なAMPの点検方法

執筆 : JA1MDN氏


平成14年3月31日最終校正 

100W以上のAMP(アンプ)を修理して感じた事を書きました。 大切な貴重なAMPです。お使いのAMPを点検してください。 長く使用するために、プロテクトが働く前に、一度お使いのAMPを点検してください。

SP=スピーカー
VR=ボリューム
AMP=アンプ
DC=ダイレクトカップリング
TR=トランジスター

  1. 先ず、30分以上使用して暖めます。そして、メインVR(ボリューム)を左に回し「0」にします。無音の状態が正常です。
    ・この時「ブツブツ」「バリバリ」と不定期な音が、わずかでもすれば、初段〜中段のTR(トランジスター)不良です。
    ・「サー」と言うノイズが連続ででる場合、初段TR(トランジスター)の劣化です。
    ・「チー」と言う音がすれば、高域の発振です。是は非常に解りにくいです。 普段使用していて、どうも高域が「こもる/濁る」も是に起因する場合が有ります。
  2. 音がしなければ、接続されているSPの線の片側を外したり、繋いだりしてください。 この時SPから「ガリ」と音が出ればDC-AMPバランスが崩れています。 音が大きいほど、重傷です。 目安ですが、SPから1m離れ、「カリ」位の僅かの音が約0.05V位です。 但し、まだアンプが暖まらないと、音がする場合あります(特にトランジスターAMP)。 この音がすると、SP(スピーカー)に直流電圧が常時流れ、SPのボイスコイルが痛みます。 この状態での修理は、調整ですみます。 古いと調整用のVR交換が必要な場合も有ります。 更に進みますと、音だけで無く、SPのコーン紙が前か後ろに動きます。 こうなると、調整だけでは済みません。 その内プロテクトが動作し始め、働きぱなしになります。
  3. テスターをお持ちでしたら、「SPライン間」、又「SPの+とシャーシ」とを計ります。 この時何れも、電圧が0.1V以上(=100mV)有れば完全に異常で、調整が必要です。 メーカーでは5mV以下に指定しています。 出来るだけ早い時期に修理、調整しましょう。 なを、山水電気のXシリーズ(AU-907X/AU-707X/AU-607X)をお使いの人は、アースとSPのマイナス端子もあたること。此方も0です。
  4. 次にコントロール(フラット)AMPの点検です。(以下はメインVRのガリは無い物としています。メインVRにガリが有る場合、下記は解りにくいです。)
    ・AMPの入力端子は全て抜きます。
    ・入力をCD/AUX/TUNER等にします。
    ・徐々にメインVRを上げていきます。
    この時雑音が出れば、このAMPの故障です。 「ブツブツ」「バリバリ」と不定期な音が、わずかでも音がすれば、 初段〜中段のTR(トランジスター)不良です。 「サー」と言うノイズが連続ででる場合、初段TR(トランジスター)の劣化です。 「チー」と言う音がすれば、高域の発振です。 ボリュームを最大までして異常がなければ、0〜最大〜0を繰り返し、だんだん早めます 雑音が無いことを確かめます。 この時、音はしない(聞こえない)がSPのコーン紙が動く場合は、 このAMPの発振かバランス崩れです。
  5. 次EQ(イコライザー)AMPの点検です。
    ・メインVRを0に戻します。
    ・AMPの入力端子をPHONO(MM/MCの切り替えがある場合はMM)にします。
    ・徐々にメインVRを上げていきます。
    この時雑音が出れば、このAMPの故障です。 「ブツブツ」「バリバリ」と不定期な音が、わずかでも音がすれば、 初段〜中段のTR(トランジスター)不良です。 「サー」と言うノイズが連続ででる場合、初段TR(トランジスター)の劣化です。 「チー」と言う音がすれば、高域の発振です。 ボリュームを最大までして以上がなければ、0〜最大〜0を繰り返し、だんだん早めます 雑音が無いことを確かめます。 この時、音はしない(聞こえない)がSPのコーン紙が動く場合は、 このAMPの発振かバランス崩れです。
    MM=ムービングマグネット=出力数十V〜数百mV
    MC=ムービングコイル=出力数mV〜数十mV
  6. 次MC(無い機種あり)AMPの点検です。
    ・メインVRを0に戻します
    ・MCの入力端子をショウトピンジャックでショウトしておきます。
    ・徐々にメインVRを上げていきます。
    この時雑音が出れば、このAMPの故障です。 「ブツブツ」「バリバリ」と不定期な音が、わずかでも音がすれば、 初段〜中段のTR(トランジスター)不良です。 「サー」と言うノイズが連続ででる場合、初段TR(トランジスター)の劣化です。 「チー」と言う音がすれば、高域の発振です。 ボリュームを最大までして以上がなければ、0〜最大〜0を繰り返し、 雑音が無いことを確かめます。 この時、音はしない(聞こえない)がSPのコーン紙が動く場合は、 このAMPの発振かバランス崩れです。
  7. 良く調整されたAMPのみ出来ます。悪いAMPですとSPが壊れます。
    メインVRを最大にします。
    入力切り替えSWをCD/AUX/TUNER/PHONOと連続して、切り替えても、 プロテクトが働きません。切り替えの為の、若干のノイズが出るだけです。 同じように各種のSW(フイルター、ラウドネス、ミュート等)を切り替えても同様です。 ボリュウムやSWのガリと思われている内の、大半はAMPのバランスくずれによる、 信号ラインへのDC電圧の漏れが原因でノイズが出るのが多いいのです。
  8. 長く使用していないAMPの使用上の注意
    1日くらい何も入力しないで、通電しておきましょう。 長い冬眠から覚ますには、時間が掛かります。
  9. 一般的なAMPの使用上の注意
    電源投入と同時ににフルパワーにしないでください。 最低10分位してからフルパワーにしましょう。 特にバランス崩れのAMPは、この時にプロテクトが働きます。 たまには、AMPも埃落としをし、日頃の労をねぎらいましょう。 掃除機で吸ってもおちないので、エアーで吹いて埃を飛ばし、掃除機で吸うのがよいです。 エアーは300〜500cc位のが売られています。 AMPの放熱器なども結構埃がコビリ付いています。 (特に愛煙家のAMP)愛煙家のかたは、たばこの脂で埃がこびりつきます。 水性アルコールを歯ブラシに付けて、ごしごしすると落ちます。 大きいTR(トランジスター)の付近は、白いシリコンの放熱材を取らないよう注意しましょう。 手入れをして、長く使用しましょう。
  10. 下は、小生が使用するアンプ掃除用具です。 一番使用するのは、掃除機で埃を吸いながら、歯ブラシ/刷毛で埃を取ります。 ツマミ/パネルの汚れは、ガラスクリーナー、エタノール(アルコール)を使用します。 愛煙家の「ヤニ取りは」中性洗剤も使用します。トルエンは最終兵器です。
  11. 下は、ツマミにこびりついた、タバコのヤニが浮いてきている様子です。この後ブラシで良くこすり、綺麗になって乾いたら、シリコン系の車のワックスを塗ると良いです。
上記の文章、写真はJA1MDN氏よりご提供いただきました。著作権はJA1MDN氏が保有されます。
アンプのチェック、メンテナンス等にお役だてください。

この場をお借りしましてJA1MDN氏に御礼申しあげます。